超個人的な我が仕事の話。
荷揚げ屋さんや工事現場関係者の方、運送会社の方に届くことを祈って書いていく。
著者は石膏ボード専門のトラックドライバーとして13年の経験がある。
ドライバーとして働き始めた頃は、上司や指導員から教えられた通り、現場で荷下ろし作業を手伝うのが当たり前だと思っていた。
しかし、5~6年前から状況が変わり始めた。
伝票に「軒先渡し」と明記されるようになり、それ以来、現場での荷下ろしがドライバーの業務の範疇を超えているのではないかと疑問を抱くようになった。
実際、会社もリスクを回避するために「荷下ろし作業は我々の責任ではない」という立場を取るようになってきた。
伝票に従った業務範囲
ドライバーの業務は、配達先で受け取る伝票に基づいて行われる。
例えば、伝票に「手おろしあり」と書かれている場合、追加料金が支払われるため、荷下ろし作業を行うのが当然である。
しかし、「軒先卸」と記載されている場合は、荷物を建物の軒先まで運ぶだけで、荷下ろしの手伝いをする必要はない。
それにもかかわらず、多くの現場では「ドライバーも手伝うのが当たり前」とされ、しばしば暗黙の了解として荷下ろし作業を求められる。
これは、現場で長年続いてきた悪しき慣習によるものである。
著者もはじめの頃は、そのような慣習に従って荷下ろしをしていたが、会社がリスクを避けたいという意向を示すようになったことで、この慣習に疑問を持ち始めた。
特に、石膏ボードのように重量があり、壊れやすいものを取り扱う場合、万が一破損させてしまったり、他の物に傷をつけてしまった場合、責任は全てドライバーに降りかかる。
荷下ろしのリスクはボードだけではない
石膏ボードは非常に重く、軽いもので一枚10キロ、重いもので一枚25キロもある。
それを一度に偶数枚持つのが原則で2枚、4枚、6枚と持つのが通例である。
このような重量物を扱う際には、ただの「善意」で手伝うことがリスクを伴う場合が多々ある。
特に現場では、狭いスペースや他の業者の車が駐車されている中で荷物を降ろさなければならないため、ボードが車や建物にぶつかってしまうことも珍しくない。
また、歩行者がいる場合には、事故のリスクも存在する。こうした状況で荷物を扱う際、ドライバーが適切な報酬も受け取らずに作業を行うのは非常に危険である。
著者自身、荷下ろしを手伝って現場の家屋や他の車を傷つけた経験は少ないが、常にそのリスクを感じながら作業をしていた。
悪しき慣習と誤解
長年、工事現場では「ドライバーが荷物をおろすのが当たり前」という考えが浸透している。この誤解は、多くのドライバーにとって精神的な負担となっている。著者もかつては、荷下ろしを手伝うことが当然だと思っていたが、今ではそれが不当な要求であることに気づいた。
問題は、この誤解が一部の作業員や現場責任者にも根付いており、彼らがドライバーに対して当然のように荷下ろしを求めてくることである。特に「軒先卸」の指示がある場合、荷揚げ屋が手配されているにもかかわらず、「ドライバーも手伝うべきだ」という無言の圧力がかかることがしばしばある。
軽んじられる運送業者と現場での圧力
工事現場では、運送業者が軽んじられることが少なくない。ドライバーが荷下ろしを手伝わないだけで、露骨に嫌な顔をされたり、恫喝された経験もある。
特に石膏ボードのような重量物を扱う現場では、作業員が「ドライバーは当然手伝うものだ」という考えを持っており、荷下ろしを手伝わないとあからさまに嫌な態度を取られることが日常茶飯事である。
ドライバーの責任とリスク管理
荷下ろし作業を行う際には、無償で行うことが多く、リスクはすべてドライバーに降りかかる。現場で傷や破損が発生すれば、その修理費用はすべてドライバーが負担する可能性がある。
さらに、石膏ボードは非常にデリケートで、少しの衝撃でも破損することがある。荷揚げ屋はこのようなリスクを理解して作業を行うが、私たちドライバーがそのリスクを背負う理由はない。
体を壊すリスクと健康管理
石膏ボードの荷下ろし作業は、腰に大きな負担をかけることが多く、慢性的な腰痛や他の身体的な問題が発生する可能性がある。
将来の健康を犠牲にしてまで無理な作業を続ける必要はない。
著者自身、慢性的な腰痛に悩まされており、将来動ける体を犠牲にしてまでやる必要があるのか甚だ疑問である。
まとめ:ドライバーの役割と権利を守るために
石膏ボード専門のトラックドライバーとして、荷揚げ作業は私たちの業務ではない。我々の役割は、石膏ボードを安全に現場まで運び、軒先でおろすことである。
それ以上の荷揚げ作業を行う義務はなく、無理な要求に応じることでリスクを背負う必要もない。
ドライバーが安心して働ける環境を整えるためには、業界全体がこの悪しき慣習を見直し、ドライバーの役割と権利を尊重することが重要である。
そのための第一歩として不当な作業を求められたらNOと言おう。
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